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「豊かさ」の理由(わけ)を知りたい
――あずみ たかのぶのドイツ見聞録
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豊かな食の背景に哲学あり!
 実際のところドイツでは、「食」に関しても、その「豊かさ」は実に素晴らしいものでした。
 例えば、普通に朝食などで食べるパンが、本当に美味しいんです。むこうでは極めて一般的な、ちょっと酸味が効いているのですが、しっとりとして噛むほどに麦の味わいが口中にひろがる黒パン。最近でこそ変わってきましたが、日本では、ホテルやデパートのベーカリーでも中々味わえない様なパンを普通に食べることができるんです。
 向こうの方は奇妙に思ったかもしれませんが、私はその味そのものをじっくりと噛み締めたくて、勧められても、あまりバターなどは塗らずに、必ず、パンだけを「ハムハム」(もぐもぐではなく…)したりしておりました。
 パンだけではありません。ドイツといえば、ソーセージにザワークラウト(キャベツ料理)、ジャガイモ料理、数々のチーズにおよそ五千種に上るという地ビール、ワインなどなど…挙げていけば切りがありませんが、食事が美味しいのには、まったく参ってしまいました?!帰国後、家内の第一声が「…太ったね」だったことからも、その点、容易にご想像いただけることと思います。
 ここでお伝えしたいのは、例えば、ビールの醸造においては、「麦、ホップ、水」の三つ以外を用いてはいけない、との決まりを五百年近くも守り通すことで、一見、効率性や単純な利益率とは程遠いのですが、結果的に安全で美味しいものをしっかりと守り続けてきている、という事実です。
 今、盛んに「食」の安心・安全が叫ばれる日本だからこそ、ドイツのその行政的な取り組みの背景にある、「人」や「暮らし」を大事にするという哲学を随所に感じ取り、強い感銘を受けたのでした。
 余談ですが、昔、知人のドイツ人が、「日本のビールは米の味がする」と言っていたのを思い出しました。そういわれて原材料をよく見てみると、確かに、麦芽、ホップ、コーンスターチなどと並んで、「米」と書いてあるのです。もっとも、滞在先のホストファザーによれば、「日本のビールはとても美味しいよ!」とのことで、いくつかの著名なブランド名も挙げていましたが…。

彼の地と似ている?旭川
 単純には比較できないところでしょうが、私自身、ドイツでのそうした実体験を通し、さらにまた性別や年齢、職業など、それぞれに異なる色々な方々と話をしながら(残念ながらドイツ語ではありません…)同様に感じたのは、少なくとも、普通に勉強をし、働き、家庭を持って暮らしていく上で、かの国では、十分に質的に豊かな暮らしを享受できる、との印象です。人々が暮らし、生きていく上で欠かすことのできない基本的な生活環境や食の豊かさが実現され、まさに「日常のもの」になっているということは、本当に素晴らしいことではないでしょうか?
 もちろん、今回の短い旅の中で知ることができた範囲は限られたものでしかありません。ですが、逆に言えば、短い滞在の中でもはっきりと実感し得たものだからこそ、伝え聞いていたことの意味合い、その真実味が私の中で増したというのが一つの結論です。
 振り返って我が旭川ですが、そうした「豊かな暮らし」を実現するための素地、環境を考えてみました。議論を交わした行政職員、あるいは首長や議員の方々とのやり取りなどからは、似た様な部分が多い、つまり「豊かな暮らし」を実現するための素地は旭川にも十分にある、との印象を強く持ったところです。実際、驚くことに、景観そのものは北海道の丘陵地帯に酷似しており、それは、気候的に極めて似通った空気質に由来しているのだということが、行ってみて良く分かりました。
 当然のことながら、それは、樹木をはじめとする植生や、栽培している作物なども似ているという環境を意味しているのであり、ドイツでビールやチーズ、あるいはジャガイモなどが美味しいのは、旭川や北海道でそれが特産品、あるいはその原料となり、また、美味しいのとまったく同じ理由なのです。
 今回の訪問でも話題になったのですが、向こうの方が旭川とその近郊を訪れた時に、「故郷(ドイツ)とそっくり!」と思わず、口にしてしまったというのも、私としては頷ける話でした。

暮らすことが楽しくなるまちへ
ただ、明らかに感じる大きな違いは…ご想像の通り、視界に「電線」のない光景、そして独立した「自転車道」が整備されている光景でした。
 そこで考えたことの一つですが、例えば、今後の都市計画においては、基本的に電線の地中化を前提とし、ただ、既設部分やその他の諸条件からそれが困難な場合に限り、電柱を建造物の背面に敷設、セットバックできる方向に規制などを変えていく。建造物正面の道路側に面した部分には、鮮やかな花の鉢を飾ることのできる建築物の構造などを政策的に誘導し、また、車道と歩道の中間に独立した自転車道を確保し、街路樹はその自転車道の歩道寄りに植樹していく。この自転車道は、冬場には除排雪の緩衝帯として活用する方向で道路整備を進めていく…
 空気の質が花の彩をとても鮮やかに見せるのが旭川の魅力の一つです。こうした取り組みを進めていけば、多くの方が願う冬場の除排雪の効率性や歩行者交通安全の確保、夏場の自転車の利活用による市民の健康増進や暮らしの利便性向上、見た目にも美しく、散歩することが楽しくなる様な通りの創出などなど…歴史的に積み重ねられてきた景観の違いは厳然として残るとはいえ、四季を通じて快適で、なおかつ美しい色彩と木漏れ日や光が溢れる街並みを創り出し、都市としての風格を大きく向上させていくことができるのではないでしょうか?
 この点、十年ほど前に三〜四カ月ほど滞在していたことのあるカナダでも、同様の手法を用いていた記憶があります。他にも、本市の継続的な発展と、何よりも市民の皆さん、すべての幸福な生活の根幹を成す地域の産業振興に関わって、自分自身がこれまでの議員・議会活動の中で進めてきた「食」を中心とした農業、製造業、観光などのサービス産業が連続的に刺激し合い成長できる構想に、今回の訪独でさらに自信を深めたところです。ただ、紙面の関係もありますので、この点につきましては、これまでの議会の会議録等にその詳細を譲り、ここでの紹介は省略させていただきたく思います。ご容赦ください。
 いずれにせよ、私はこうした取り組みに賛同いただける方々はもちろんのこと、同様の趣旨、手法の提言をなされてきた方々ともしっかりと連携しながら、とにかく「暮らすことが楽しくなる」そんな豊かなまちづくりを実現していきたいものだと、移動の車中などであれこれ考えを巡らせていた、そんな旅路でもありました。



消防団のパレードが行き着いた先は、なんと、学校が隣接!する広場に仮設された、大きな体育館ほどもあるビアホール! 唖然とするほどに、誰もが一杯2リットルのビールをきゅっと飲み干して踊ったり歌ったり…う〜ん、これぞドイツ…

 


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